このウルトラロー&ワイドのエスプリSE。これだけでも十分過ぎるほどのインパクトがある。しかしエスプリの本当の魅力はその美しいボディの内側にこそ秘められている。


...心地よく流す程度でワインディングをドライビング。遥かかなたに後続車が近づいてきている。さほど気にもせず流しているとさきほどの小さい影がすぐうしろまで近づいていた。スバルのレガシーB4だ。国産車の中ではスポーツ4WDとして確固たる地位を築いているハイスペックマシンだ。ロータスエスプリと言えどもスペック的には相手のほうが上。280HPの4WDマシン、相手に不足は無い。4速で流していたコーナ入り口で3速へシフトダウン。ロータスエスプリSEは何事も無かったように高い限界スピードでクリア、ターボラグを考慮してコーナーを抜ける前にフルスロットルをくれてやった。背中がシートにめり込むほどの加速G。レッドゾーンに入り込むころには次のコーナーが迫っていた。3速ホールドのままフルブレーキングでコーナーへ、まずい!オーバースピードだ。ロータスエスプリSEは少し多めのロールをともなってコーナーへ突っ込む。ノンパワーのステアリングにはグリップが軽くなる様子はない。いける!コーナー出口が見える前にハーフでアクセルを踏んでいく。ここだ!間髪いれずにフルスロットル。3速レッドゾーンまでストレスなくきっちり回り、まだ回るゼと言わんばかりにロータス伝統のエンジンは応える。ふとミラーに目をやると先ほどすぐうしろにいた挑戦者(チャレンジャー)は車種がわからないほどに後退していた。


ロータスエスプリはスペックでは語れない。超ハイスペックのスーパーカー達はロータスエスプリSEのスペックを軽く見ている。確かに、たかが265HPの4発エンジン、LSDやスタビライザーの無いリアの足回り、ソリッドのディスクブレーキ、今となってはプアなタイヤサイズなどなど。スペック的にはスーパーカーと認めない人たちもいるであろう。しかし、ロータスエスプリは確かにスーパーカーである。美的感覚にはうるさい英国人においてもだれもが美しいと言わせるほどのデザイン、トラディショナルな英国流インテリア、レーシングフィールドで鍛えられた潜在能力の高いエンジン、何よりもすばらしいのは軽量で高剛性なシャーシ、しなやかなサスペンション&セッティング。街中を優雅に行進する他のクルマ達を横目に「オレはそんなフィールドは興味ないゼ!オレはスーパーコーナーリングマシンなんだから!」と心に響いてくる。


キーをひねるとかるいクランキングのあとエンジンは目覚めた。アイドリングは国産車からすると高めの1000回転ちょっと。しかも多少ラフなアイドリングは国産車のチューンドエンジンさながらである。国産車のエンジンはカムプロフィールがおとなしめのせいかアイドリングが安定しているのが通例となっている。それと引き換えにトップエンドではがぜん元気がなくなるものだが、ロータスエスプリSEのエンジンはあきらかに高回転高出力型である。レッドゾーンを超えてもさらに元気に回るような感じである。とはいえ3500回転を超えてターボがフルブーストになってからはハイトルクのままトップエンドを極める。つまりパワーバンドがワイドなのである。チューンドエンジンでは狭いパワーバンドが当然のことでそのためクロスレシオのミッションが必要になるのだが、ロータスエスプリSEにはクロスミッションが無くとも大抵のワインディングは3速・4速の使い分けで事が足りる。決してフィールの良くないシフトもそのおかげでさほど気にすることではないのである。今までハイチューンドの国産車を数々乗ってきた私にとってもロータスエスプリのチューニングには満足している。エンジンは消耗品という考えをするのであればブーストを1.5berまで上げる、もちろん燃調他をきっちり仕上げるためのモディファイは必要であるが、そうすることでロータスエスプリSEはいとも簡単に320HPはマークするであろう。さらなるモディファイはタービンを今流のフリクションの少ない風量の多いタービン(今と同じ程度の立ち上がりならHKSの2835か?)で400HPは間違いない。エンジンをタイミングベルト交換のようなサイクルでフルオーバーホールするのであればタービンをTO4RかT88にすれば600HPを可能とする。パワースペックなど2.2Lの4発でも6Lの12気筒と肩を並べることは可能なのである。実際、F1のターボ時代は1.5Lで1200HPなんか出していたのである。



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